【名古屋・債務整理】弁護士が解説|自己破産をすると人生終わり?自己破産に対するよくある誤解

「借金がどうしても返せない。でも、自己破産だけはしたくない。自己破産をしたら人生が終わってしまう……」
借金問題に直面した多くの方が、最初におっしゃる言葉です。自己破産は「社会的な信用を失う」「財産をすべて失う」「家族や知り合いに知られてしまう」というイメージがあり、借金問題に直面してもがその不安感から自己破産をためらってしまうのも無理はありません。しかし、弁護士の視点からみれば、自己破産は、返済することができなくなった債務を整理し、経済的に再出発するために法律上設けられた制度です。本記事では、自己破産に対するよくある誤解を一つひとつ紐解き、そのメリットとデメリットや、自己破産を検討するときのポイントについて、債務整理に注力する弁護士の小山秀が解説します。
❶|なぜ「人生終わり」という誤解が生まれるのか
自己破産に対する不安の多くは、実際の制度とは異なる偏った情報や古い先入観に起因しています。よくある誤解は以下の3点です。
誤解① 戸籍や住民票に「自己破産者」と記載される? → そのような制度はありません。
自己破産をしたことが戸籍や住民票に載ることは制度上ありません。家族や親戚に知られることを恐れる方も多いですが、裁判所から職場や家族へ直接連絡が行くことも、原則としてありません。
一方で、家族や勤務先に対して借金を負っている場合、家族が保証人になっている場合や、手続のために同居家族に関する資料が必要になる場合など、事情によっては家族に知られずに手続を進めることが難しいケースもあります。
また、自己破産手続を行うと、そのことが氏名や住所などとともに官報に掲載されます。そのため、「自己破産をしても絶対に家族や勤務先に知られない」とまではいえませんが、自己破産をしたことが戸籍や住民票に残り、そこから一般に知られてしまうというものではありません。
誤解② 一生借金ができない、クレジットカードが持てない? → 誤りです。
自己破産をすると、一定期間、信用情報に事故情報としてその記録が残るため、一般的に、新たな借入れ、クレジットカードの作成・更新、各種ローンなどの審査に通りにくくなります。いわゆる「ブラックリストに載る」といわれる状態です。
登録される情報や期間は信用情報機関によって異なります。一般に「5~7年程度」と説明されることがありますが、一律に何年経過すれば必ずローンやカードを利用できるというものではありません。最終的には、それぞれの金融機関やカード会社が審査を行います。
したがって、一時的に信用取引が難しくなることは自己破産の重要なデメリットですが、「一生クレジットカードを持てない」「二度と住宅ローンを組めない」という制度ではありません。
誤解③ すべての財産を失い、路頭に迷う? → 大きな誤解です。
自己破産をしても、持っているものをすべて処分されるわけではありません。破産手続では、一定以上の価値がある財産を債権者への配当に充てることが原則ですが、生活に必要な財産については「自由財産」として手元に残すことが認められています。たとえば、法律上、原則として99万円までの現金や、生活に必要な一定の家財道具などは処分の対象となりません。また、事情に応じて裁判所が自由財産の範囲を拡張することもあります(各地の裁判所ごとに運用が異なります)。 一方、持ち家など価値の大きな財産については、原則として手放す(換価する)ことになります。自動車についても、所有関係やローンの有無、車両の価値などによって取扱いが変わります。
「自己破産=すべての財産を失う」という理解は正確ではありませんが、どの財産を残せるかは個別の事情ごとに確認する必要があります。
❷|自己破産のメリットとデメリット
自己破産は、支払不能となった方について、財産を清算するとともに、裁判所から免責許可を受けることによって、残った債務の支払責任から解放し、経済的な再出発を図るための裁判上の手続です。自己破産を申し立てただけで借金が当然になくなるわけではなく、支払責任を免れるためには、裁判所の審査を経て免責許可を受ける必要があります。
●メリット(再建の力)
◉借金の免除: 最大のメリットは、借金の返済義務から解放されることです。どれだけ利息が膨らんでいても、これまでの返済が苦しくても、免責が認められればゼロからの再スタートが可能です。ただし、税金や養育費など、自己破産をしても免責されない債務も存在します。
◉督促から距離を置く: 弁護士に依頼し、弁護士から債権者に受任通知が送られた段階で、債権者(消費者金融などの貸金業者)からの正当な理由のない直接の督促電話や郵便物は法律上制限されます。その他の債権者についても、弁護士が交渉や連絡の窓口となるため、毎日のように返済や督促のことを考えなければならない状態からいったん距離を置くことができます。
◉生活の維持: 自己破産をしても、生活に必要な財産は維持でき、破産手続開始後に新たに得る給料も処分されません。電気・ガス・水道などのライフラインも自己破産により当然に止まるものではありません。自己破産は一定の生活基盤を確保しながら、その後の生活を再建することを予定した制度です。
●デメリット(覚悟すべき点)
◉高価な財産の処分: 持ち家や高額な預貯金など、一定以上の価値がある財産は、債権者への配当のために処分する必要があります。また、ローン支払中の自動車や不動産も原則として処分の対象となります。
◉資格制限: 破産手続開始決定を受けてから「復権」するまでの間は、法律上、警備員、生命保険募集人、士業、役員などの一部の職業に就くことが制限されます。すべての職業が制限されるわけではなく、復権すれば原則として制限はなくなります。
◉官報への掲載: 上記のとおり、自己破産をすると、国が発行する「官報」に氏名や住所が記載されます。ただし、一般の人が日常的に官報を購読することは多くないため、ここから周囲に広まる可能性はさほど高くはありません。
◉信用情報の登録: 上記のとおり、自己破産をすると、一定期間、信用情報に事故情報としてその記録が残るため、一般的に、新たな借入れ、クレジットカードの作成・更新、各種ローンなどの審査に通りにくくなります。
◉保証人に請求が及ぶことがある: 自己破産ではすべての借金を債権者として申告する必要があり、その効力は保証人には及びません。そのため、奨学金や高額ローンなど、保証人を立てている借金がある場合には、債権者から保証人に対して支払いを求められる可能性があります。
◉必ず免責されるわけではない: 浪費やギャンブルなどによって財産を減少させた場合、財産を隠した場合、虚偽の説明をした場合などには、法律上「免責不許可事由」に該当する可能性があります。免責不許可事由がある場合でも、必ず免責が認められないわけではなく、事情を踏まえて裁判所が裁量で免責を認める場合もありますが、必ず免責されるものでもありません。
❸|「人生の終わり」ではなく「再出発のための制度」
自己破産は借金の免責という強力なメリットがある反面、デメリットも多くあります。借金は本来返済すべきものですから、返済可能な状態であるにもかかわらず、安易に自己破産を選択するのは好ましくありません。一方で、「自己破産だけはしたくない」という理由から、生活費を大きく切り詰めたり、新たな借入れで返済を続けたりすることが、必ずしも適切とは限りません。
自己破産は本人の努力ではどうしても解決できない多重債務に陥った人の経済的生活の再生を図るための制度です。債権者に迷惑をかけることになりますので、安易に考えるべきものではありませんが、かといって「不誠実だ」「人生の終わりだ」などとネガティブに捉えるべきでもありません。自己破産は「再出発の制度」であって建設的な解決策の1つであると考えることが重要です。
❹| 専門家とともに進める「再スタート」
自己破産の申立てでは、債権者、借入れの経緯、収入、家計、預貯金、保険、自動車、不動産などについて資料を集め、裁判所に正確に報告する必要があります。借金総額が同じでも、収入や家族構成、保有財産、借入れの理由などによって、破産手続の進み方は異なります。
弁護士に相談する意味は、単に自己破産の申立書作成を任せるだけではなく、現在の収入や債務、財産の状況を整理したうえで、そもそも自己破産が適切なのか、任意整理や個人再生という選択肢がないのか、自己破産をする場合にはどのような影響が見込まれるのかなど、専門家の目線を入れて今後の生活再建のための解決策を慎重に検討することにあります。
■まとめ|未来へ向かって一歩踏み出す
自己破産にはデメリットもありますが、実際には経済的更生のための制度であり、自己破産を経て、以前よりも安定した生活を送られている方がたくさんいらっしゃいます。そのため、「自己破産=人生終了」とネガティブに考える必要はありません。とはいえ、いつでもだれでも自己破産ができるというものではなく、また、借金の総額だけで自己破産が適してるかどうか判断ができるものでもありません。アルタス法律事務所では、現在の債務、収入、財産や今後の生活についてお話を伺ったうえで、自己破産だけを前提とするのではなく、任意整理や個人再生を含め、あなたの状況に合わせた建設的な解決策を一緒に探していくお手伝いをさせていただきます。
初回60分無料でご相談を受け付けておりますので、無理な返済を続ける前に、まずは現在の状況を整理するところから始めてみませんか。
◉債務整理・借金のお悩みの方は「アルタス法律事務所」ご相談ください。